ホーム > インタビュー&レポート > がま君とかえる君、二匹のかえるの姿を通じて そのままの姿を受け入れる尊さを描いた ミュージカル『フロッグとトード』も今年で5回目! 2006年の初演からがま君役を演じる川平慈英が語る
原作は小学校低学年の国語の教科書にも採用されている児童文学、アーノルド・ローベルの『Frog and Toad』シリーズ。ブロードウェイミュージカル『フロッグとトード~がま君とかえる君の春夏秋冬~』は、二匹のかえるの、冬眠から目覚めた春から再び眠りに入るまでの1年間を描いた物語で、「ふたりはともだち」「ふたりはきょうも」「ふたりはいっしょ」「ふたりはいつも」の4作を盛り込んでいる。手紙をもらったことがないと言うがま君のために内緒で手紙を書くかえる君。かたつむり君にその手紙の配達を託したところから四季が流れてゆく。本作は子どもたちも楽しめるミュージカル作品だが、大人の胸にもぐっと迫る場面がいくつもある。がま君役として2006年の初演以来、今年で5回目の出演となる川平慈英も、出演するたびに手ごたえを感じていると話す。
「物語そのものを自分の中で相当、咀嚼できるようになって、今年は役者達も一番楽しんでいると思います。“あそこでがま君が怒ったのは、このシーンのためなのか”とか、“ここでがま君が涙するために、あの楽曲たちがつながっているんだ”とか、新たな発見もあって。ラストの場面も自然とこみ上げてくるようになっているんですよね。この舞台に出ると、心身ともに浄化されたような気持ちになるんです。それですごく元気になって。そういう意味でも、劇場という空間で一番楽しんでいるのは僕たち役者じゃないかなと思います(笑)。そんな僕たちの姿を見て、子どもたちや、お客さんも乗せられて、楽しくなっているのではないでしょうか」
50歳を越えた川平。「大量の汗をかきながら走り回ってますよ!」と笑いつつ、この年になったからこそ見えるものがあるという。「年を重ねると優しくなるんですよね。このミュージカルの根底にあるメッセージじゃないですけど、人のため、仲間のためにまい進する、動く、生きる、尽力するということに生きる喜びを感じたり。若いときは“自分、自分”。自分が目立つことに満足をしていたのですが、年を重ねた今は思いを伝えたい。舞台ではもちろんテクニカルなことも大事にしていますが、それ以上にお客様との一体感や高揚感、幸福感の共有を目指したいですね」
あるがままの相手を受け入れる、自分自身を受け入れる。そうして他人への寛容も生まれる。それがこの作品のテーマだ。「がま君もかえる君も完璧な存在ではありません。負の部分もあります。それでも“その姿でさえもあなたなんだ”と受け入れる。足りない部分はお互いにフォローする。そうして初めて二人の関係が成り立つんですね。観終わったあとに人にも自分にも優しくなれるミュージカルだと思います」
耳にすっとなじむ聴きやすい楽曲、絵本の世界が目の前に現れたような美術や装置、生き物たちの命を輝かせる衣装や照明など、きめ細やかに作られた舞台。そして子どもたちを終始、楽しませる役者たちの遊び心。「終演後、子どもとの対話がいつも以上にはずむと思います。夜、寝るまで子どもが感想を言ってくれたらこっちの勝ち(笑)。嬉しいのは初演当時に観に来てくれた中学生の女の子が、今では子どもを連れて観にきてくれるんです。目指せ3世代です!」
目指すものはもう一つある。「かえる君役の鈴木壮麻さんが56歳で、僕が54歳。ここまで来たら“目指せ還暦”! 体が許す限り続けて、還暦になったら二人で赤いちゃんちゃんこを着て出たいですね(笑)」
ブロードウェイミュージカル『フロッグとトード~がま君とかえる君の春夏秋冬~』は8月23日(水)・24日(木)に森ノ宮ピロティホールで開催。当日引換券も発売中。
(2017年8月22日更新)
▼8月23日(水)14:00
▼8月24日(木)13:00
森ノ宮ピロティホール
【当日引換券】
Pコード:459-909
全席指定 一般-5000円
全席指定 こども-2000円
全席指定 親子券-3000円(1名様分)
[演出]鈴木裕美
[出演]川平慈英/鈴木壮麻/戸井勝海/中山昇/宮菜穂子/樹里咲穂
※3歳未満は入場不可。こども=3歳以上~高校生まで。親子券=大人1名+こども1名が対象で2枚単位(合計6000円)での販売。親子券をご購入のお客様は公演当日必ず2名様揃ってご入場下さい。
[問]キョードーインフォメーション
[TEL]0570-200-888